2021年2月25日 №498

2021年2月25日 №498

〈連邦議会占拠事件とバイデン新大統領の登場〉

 歴史(米国)の到達点はコミュニティーである。『変わらないために変わり続ける』という科学的歴史観の運動法則に従い、アメリカは変わり続ける。資本主義は崩壊し、共同体へ、歴史は回り、前へ前へと転換する!

 

歴史は科学である。世界の歴史、米国の南北戦争が教えるとおり、爆発(戦争)は新しい世界を生み出す助産婦であった。対立と抗争、テロと暴力、内乱と暴動は必然である!

 

   米民主党のジョー・バイデン元米副大統領(78)が、1月20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂で行われた大統領就任式で宣誓し、第46代大統領に就任した。就任演説では「国家と国民を団結させることに全霊を捧げる」と誓った。日本の新聞も共通して、「米国を一つに」「分断から団結へ」「脱・トランプ開始」「米国第一から決別」そして「結束と民主主義」を20分間の演説で計20回も連呼したと報じた。まさに異様な就任式であった。

 1月6日、トランプ支持派による連邦議会占拠事件は、現代資本主義の総代表・バイデン新大統領就任式への決定的打撃となった。首都ワシントンは、厳戒下に置かれていた。2万5000人の州兵、道路や橋、地下鉄は封鎖され、連邦議会議事堂やホワイトハウス周辺は高いフェンスに囲われ、まさに「要塞化」の様相であった。議会が襲撃されたのは英米戦争中の1814年、ワシントンが占領され、ホワイトハウスや議会議事堂などが焼き討ちにあって以来の出来事である。

 バイデン新大統領は、分断の克服、米国の融和と結束を訴え、その日のうちに、パリ協定やWHO復帰、メキシコ国境の壁建設の中止、米国第一から国際協調へ、多くの大統領令に署名した。それはトランプ前大統領への仕返しでもあった。大統領就任式はアメリカの敗北、現代資本主義の崩壊を象徴するものでもあった。

 一方、トランプ前大統領は、20日、就任式の早朝、ホワイトハウスから、ワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地に専用ヘリで移動、支持者、側近、家族らで退任式を行った。10分ほど演説し、「4年間の成果を確認し、再び帰ってくる、近いうちにまた会おう」とのメッセージを残し、儀仗隊の祝砲下、静かに去っていった。しかしそれは次への新たな激動の予告でもあった。歴史は「トランプ」を生み出していく。

 分断された米国、そして世界はどうなるのか。

 アメリカは混迷し、カオスとなり、「世界はジャングル化し、アメリカは消えてゆく」(落合信彦)。アメリカの出来事は、歴史的には進歩である。すべては歴史のプロセスであり、ここから新しい歴史が始まる。

 アメリカは分断された「二つの国」である。歴史は頂点をめざし、『変わらないために変わり続ける』のである。資本主義は終焉し、アメリカの未来は暴動と共に始まっていく。対立と抗争、テロと暴力、内乱と暴動は歴史発展の梃子である。歴史は常に変化し、回りまわって、必然の道に、行き着く。つまりリンカーンが南北戦争で宣言した「人民による、人民のための、人民の政治」である。これが分断された二つの国、アメリカを一つに統一し、団結させる唯一の、正しい科学的な道である。歴史は新しい世界を求めて爆発する。ここにアメリカの展望がある。全ての歴史は(原始時代を除き)階級闘争の歴史であった(マルクス)。世界は科学的歴史観にもとづいて、新しい道への出発点に立った。

 歴史の到達点はコミュニティーデある。

 

 

 「すべてはトランプ大統領が悪い、トランプに全責任がある」との言い分は、性悪説であり、古い支配階級の論理である。歴史問題を考察する教科書、マルクスの「ルイボナパルトのブリュメール18日」(1851-1852年)から学ぶ。

 

 1月20日付「産経新聞」で九州大学教授・施 光恒(せ てるひさ)氏は『正論』に「米国の分断解消に必要なこと」と題し、投稿している。施氏の提起は誠に検討に値するものである。その核心は次の点にある。

〈大半の論評や報道は以下のようなものだ。米国民の分断を煽ったのはトランプ氏である。今月6日に議事堂への乱入が生じ、死者が出たのはトランプ氏のせいだ。だから弾劾されて当然だ。トランプ氏や支持者の言論をツイッターなどが規制するのも仕方がない。

 このような報道や論評は米国社会の分断の原因を大きく見誤っている。これでは分断は解消されるどころか深まる一方である。

 6日の議事堂への乱入の件について、一方的にトランプ氏側に全責任を課し糾弾しても問題の解決にはつながらない。

 もっと大きな視野で事態を見つめる必要がある。なぜトランプ陣営の呼びかけに応じ、あれだけの大群衆が全米各地から集まったのか。…

 そもそも米国民の分断が生じたのはトランプ氏のせいではない。1990年代後半ごろから米国では「エリート層対庶民層」の分断が社会問題化していた。トランプ氏は庶民層からの後押しで2016年の選挙で当選し、連邦議会占拠事件も、その流れの中で起こったものである〉と。

 施氏の主張は注目してよい。何でもトランプが悪いとして個人に責任を押し付ける思想、これが性悪説であり、現代の歴史時代や、社会環境や、階級対立を無視したものである。

 われわれは今こそ、マルクスから学び、名著『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を読み、歴史観を紐解く。ボナパルトのクーデターについて、当時のフランスインテリゲンチャの代表、ビクトル・ユゴーは「すべてはボナパルトが悪い、すべてはボナパルトの責任だ」と主張した。現代のトランプ叩きは、それと全く同じである。マルクスはこうしたとき、「すべては階級対立と階級闘争の産物であり、ある人物の行動には、必ず、当時の基本階級の要求が正確に反映している、と主張した。つまりボナパルトのクーデターには、フランス農民の要求、大ブルジョアジーに対する怒りが反映していた。ボナパルトはこの農民の要求を汲んで決起したのである。トランプ前大統領の行動には、資本主義の残虐性、権力への怒り、人民大衆の要求、強い怒りが反映していた。1月6日の連邦議会への突入は、まさに、疎外され、迫害されたものの怒りの爆発であった。マルクスは同時に、ボナパルトの運命を予測したが、トランプ民族主義も同じ運命をたどるであろう。

 「トランプ旋風」はアメリカの歴史時代の産物であった。それはアメリカの歴史上初めての黒人で「チェンジ」(変革)を叫ぶオバマ大統領を出現させたあの熱狂の反動、黒人のオバマへの白人の反発、反作用の産物である。これがアメリカ国民の「反エスタブリシュメント」(支配者集団)的空気と結合した爆発であった。

対外的には、外国のことを考えるな。米国第一を貫け。イスラム教徒の入国を禁止せよ。万里の長城を築け。軍の駐留経費は全額その国に支払わせよ。こうして戦後体制を破壊したのである。

 2020年11月、米国の大統領選挙では、トランプ前大統領は7400万票を獲得(バイデン大統領8000万票)、歴代のどの大統領をも上回る有権者の支持を得たのである。施氏も指摘しているが〈国民融和を果たすには不正があったと考える国民が多数に上る事実、大規模な不正があったとする大統領補佐官ピーター・ナバロ氏による詳細な報告書もあった。超党派的な調査委員会を作るべきであった。大手マスコミはこれらもやはり一笑に付すかも知れない。だが、かなりの割合の国民を陰謀論者と嘲(あざけ)ってしまえば民主主義は成り立たない〉と。

 

     

 

 



 連邦議会の占拠事件はトランプの個人責任論などではなく、起こるべくして起こった必然の歴史的事件であった。存在が意識を決定したのである。すべては現代の歴史時代が生み出した事件であり、すべてを階級闘争の産物として見つめよ。

 

 これがマルクスの『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』から学んだわれわれの科学的歴史観であり、結論である。

 

連邦議会占拠事件は「民主主義の殿堂」なるまやかし、その幻想への痛烈な一撃となった。真の民主主義を求め、歴史は激動する。格差社会、人種対立と差別、規範の喪失は進む。その先はアメリカの破綻であり資本主義崩壊である。

 

1月23日付「日本経済新聞」は、人民大衆の現状を報じている。〈米ウォール街。歴史的な株高に沸く中、寒空の下、食料の無料配給を求める失業者らの列ができた。300ヵ所で食料を配る支援団体は「20年の配給量は前年の5倍」と明かす。上位10%の富裕層の純資産は半年で8兆ドル(約830兆円)増え、総額80ドルと国内総生産(GDP)の4倍だ。21世紀の知識資本主義はIT(情報技術)など優れたアイデアの出し手にマネーが集中する。格差拡大は米国の社会、政治の分断を深める。

 バイデン大統領は、経済格差を是正すると言うが、税制も規制も巨大企業や富裕層に有利に働いている。人口知能(AI)の普及で「雇用なき回復」が進み、労働市場そのものが縮小している。南欧は若年失業率が高止し、日本は非正規雇用にしわ寄せが集中する。主要国で強まる「格差の固定」は、米国で見た深刻な社会の分断の予兆となる〉と。

 民主主義はどこにもない。人民大衆はいつまでも黙っていない。決起し、爆発する。

 

民主主義とは何か。古代ギリシャ文明が生み出したその原理は「人民の主権」「人民の意思」「人民の政治」であり「人民の人民による人民のための政治」(リンカーン)である。

 

 真の民主主義の原理は、古代ギリシャ文明と、国家の成立はすべて生産力の発展にもとづく、商品経済の成長と、財産の蓄積が土台になっており、この法則は人類の歴史を貫いている事実が証明している。

 この法則通り、真の民主主義の発展と勝利は、人類の歴史上における三大革命―パリ・コミューン(1871年)、フランス大革命(1789年)、ロシア革命(1917年)―を通じて進化し、完成した。

 パリ・コミューンは真の民主主義はコミューン(共同体)国家と社会の中でのみ実現することを教えた。すべては国家と権力の性格が決定する。

 フランス大革命では「世界人権宣言」が発せられ、万民は平等社会でのみ人民の権利は保障されることを証明した。権力をめざす真の階級闘争へ。

 ロシア革命では真の民主主義、人民の権利と主権は人民評議会によってのみ実現されることを確認した。選挙や投票は愚民政治である。

 真の民主主義は直接民主主義であり、それは、各界、各層、各分野毎に組織された人民大衆の自治組織、評議会で意思決定され、確認された権利を主張し、実現するための闘い、行動し、実現する人民の権力である。いたるところに評議会を組織せよ。 

  歴史は科学であり、ここにわれわれの道がある。3つの教訓は歴史の遺産である。

 米国の人民大衆は、資本主義下、真の民主主義が否定され、人権が奪われ、人間性が侵され、「形の違った」奴隷のごとくであった。アメリカ人民は一時、トランプに頼ったが、民族主義やファシズムは過去のものであり、根本的には勝利しないであろう。現代の歴史は、生活と権利を求め、自由と民主主義を求めて前進する。

 第二の南北戦争は、リンカーンが主張した通り、必ず、「人民の人民による人民の政治」に転換するし、またそうしなければならない。歴史は、この運動と闘いの中で、必ず、マルクス主義の復興、人民と労働者階級の正しい意思

 を体現する政党、前衛政党を創出させるであろう。これもまた法則である。

 進歩的知識人は、共通して、アメリカの南北戦争(1861~65年)の再現を予言している。かねてより人類の未来は「共同体主義」にある、と訴えている会田弘継氏(関西大学客員教授)は「米国の現状は南北戦争の前夜に似てきた」とはっきりと言っているのである(2020年10月17日付日本経済新聞)。

 南北戦争は奴隷制度を廃止し、400万の黒人奴隷が身分制度から解放され、アメリカ近代資本主義の出発点となった戦争であった。

 歴史の到達点はコミュニティーである。

 

 結び!

 われわれの未来展望と共同体思想!

 

 われわれはすべてを哲学・歴史科学的世界観に徹するよう呼びかける。われわれの一貫した訴えは次のようなスローガンである。

 ①人類とその社会は永遠の過去から永遠の未来に向かって運動し、発展し、爆発し、収れんされつつ前進していく。そのエネルギーは人間の生きる力であり、その物質的表現としての生産力である。

 ②生産力の発展がその度合いに応じて生産関係としての人類社会(国家)を作り出していった。それは最初の原始共同体、次の奴隷制、封建制、資本主義制、そして社会主義へと一貫して生産力の発展が生産関係(国家)を変化させていった。これからもそうなる。

 ③物理学が証明しているとおり、すべての生物は環境が作り出していく。人類もまた環境の産物であり、進化していった。環境が人間を変えていく。新しい環境と新しい社会は新しい型の人間を作り出していく。

 ④人類の歴史を見ればわかるとおり、一つの支配権力、一つの国家形態が永遠であったことは一度もない。歴史は常に運動し、変化し、発展し、転換して次々と新しい時代を作り出していった。そして歴史を見ればわかるとおり、変化は静かで一直線ではない。爆発と収れんは歴史法則である。歴史は前を目指すが、その過程では常に偶然が伴う。偶然は必然のための産物であり、偶然は必然のための糧である。そして必然の世界とは人民の人民による人民のための世界であり、より高度に発展したコミュニティー社会である。歴史は到達すべきところに必ず到達する。

 ⑤コミュニティーとは何か。人民の人民による人民のための世界とは何か。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。

 ⑥生産第一主義、物質万能主義、拝金主義、弱肉強食の国家と社会ではなく、人間性の豊かさと人間の尊厳と人間としての連帯と共生の国家と社会にする。

 ⑦金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみんなが一緒に進む。

 ⑧人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。

 ⑨そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。運動と闘いの中でいたるところに評議会を組織せよ。人民の要求、人民の意志としてここで主張する。そして権力として、歴史時代が求める自らの責任と任務を執行させる。

 ⑩人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。

                                   

                                               (以上)