2020年6月25日 №490

2020年6月25日 №490

人類の未来展望とわれわれのアピール

人類が人間として、正しく生き抜くために歴史は爆発し、大転換を求めている。それは階級制度としての資本主義から、階級なきコミュニティ社会の実現である。こうして感染症や旧社会が生み出したすべての矛盾は解決されていく。

 

われわれは内外に、共同体社会を、そしてコミュニティ社会から社会主義への大事業を実現するその旗印・人類の未来展望〈10項目のスローガン〉(英訳)を発表する。

 

はしがき

 新型コロナウイルスの出現は、すべての人々に大きな衝撃を与えた。いかに認識し、いかに闘うか。われわれは現代の歴史時代が生み出した産物と捉えている。故に根本的な解決は資本主義をのりこえ、コミュニティ(共同体)社会を実現する以外に道はないと確信する。そこで、われわれは人類の未来展望〈10項目のスローガン〉を英訳(訳者・梅原秀臣)し、内外に発表し、皆さんの討論に付すこととした。それがこの度のアピールである。皆さんの真摯な意見、質問、批判を!

 

新型コロナや感染症の根本問題、安倍政権の破綻、民族主義的運命について!

 

 新型コロナウイルスの感染者は世界で、五月二十六日、現在、五五〇万人を突破し、死者は三十四万人に上る。特に欧米諸国は突出している。米国の感染者は一六〇万人超、死者は一〇万人に迫り、英国が三万七千人、イタリアが三万二千人と続く。世界では感染が続く中、欧米諸国やアジア、日本では緊急事態宣言が解除されていっているが、第二波、第三波の危険は続く。

 資本主義経済は今日までひたすら盲目的に走りつづけてきた。それはまさに『走れメロス』(太宰治の小作品)そのものである。こうして現代はその最高にして最後の段階たる独占資本と帝国主義の段階と時代に到達した。この歴史が金融寡頭支配を生み出したのである。それは、もう老いてしまい、朽ち果ててしまい、腐り果て、堕落してしまった。だからその上部構造としての政党政治と政界も腐敗し堕落し、もう統治能力を失ってしまった。世界は対立と抗争、戦争と内乱、暴力とテロ、無差別大量殺人という時代を生み出した。新型コロナウイルスもこの過程の産物である。

 歴史の到達点はコミュニティーである。人類が最初に作り出した原始共同体社会は、より発展し、前進し、より高度になって元に帰っていく。コミュニティー社会では階級支配は基本的に消滅する。共同体社会である限り、そこには人民大衆、ただ一つの階級社会である。人民の人民による人民のための社会である。新しい時代と新しい社会と新しい環境が新しい型の人間を生み出す。こういう新しい共同と共生の社会、近代コミュニティー社会が、新型コロナを始め、独占資本主義支配体制が生み出したすべての矛盾を根本的に解決していく。

 資本主義の終焉は、新型コロナウイルスのパンデミックが決定的にした。必然性と偶然性に関する科学法則の産物である。「米国第一」のトランプのアメリカは世界最大の感染者と死者を出し、それでも力を誇示せんと十一月の大統領選に躍起である。EUから離脱し、英国の誇りを取り戻さんとしたそのジョンソン首相は自ら新型コロナウイルスに感染し、死の恐怖を余儀なくされた。現代資本主義を代表する米国と英国は、まさに「阿鼻叫喚の巷と化す」である。



 日本の安倍政権はどうか。新型コロナウイルスの中で、完全に統治能力の喪失をさらしてしまった。五月二十一日付朝日新聞のコラム「政治季評」に早稲田大学教授豊永郁子氏は〈新型コロナウイルスによって世界中が同じ危機と対峙したことで分かったのが、日本政府の能力の低さだ。なにしろ政府が行動しない。二月以来問題になっていたPCR検査の実施件数が、諸外国と比較して驚くほど低い水準にとどまり続けていることが、これを端的に物語っている。政府には何とかしようという気は起らないらしい。それはロックダウンへの態度からもうかがわれた〉と行動力も理解力もない安倍政権を厳しく批判したのである。

 まったくその通りである。いったいこれは何を意味するのか。それは安倍政権がもうすでに破綻、敗北し、統治能力も、行動力も、喪失してしまっていることの証明である。ましてや緊急事態宣言の真っ最中に起こった「検察庁法改正」問題の結末は、安倍政権の腐敗と堕落、緊張感や統治能力のなさを物語っている。安倍右翼民族主義は誠に無力であった。 

 安倍晋三首相が本当に国民のこと、人民のこと、ましてや日本民族のことを思うのであれば、検査を徹底し、事実にもとづく、医療体制と日本の総力を結集すべきではなかったのか。それ抜きの自宅待機や、自粛要請、休業要請などは、一方的な責任転嫁である。また政府の補償水準は低く、現実に合致せず、責任を果たしていない。安倍首相は緊急事態宣言を全面的に解除した五月二十五日の記者会見で「日本モデル」などと言って自賛しているが、全く何の根拠もないものである。

 日本人民はよく知っている。五月の各紙世論調査にも表れている通り、「各種の補償などは誠意のない不十分なものであり、煩雑であり、口ではスピード感をもって、というが対応は誠に遅かった」など、人民大衆の批判は、安倍政権の本質を見事に突いたものであった。そして朝日新聞の五月終盤の世論調査ではとうとう「内閣支持率29%(不支持率52%)」まで急落、第二次安倍政権が発足して以来最低となった。

 米国、英国、そして日本の現状は資本主義が崩壊し、新しい時代、コミュニティ(共同体)へと転換する現代の歴史時代を象徴する出来事であった。

 民族主義に未来はない。

 

現代の先進的知識人はすべてを科学的に予感し、発言し、行動する!

 

 現代の科学者、先進的知識人は真実を語り、歴史を語り、感染症と人類の未来を予測し、現代資本主義に警鐘をならしている。最近の知識人が共通して強調している核心は次の点にある。

 第一、新型コロナや感染症の根本原因は現代資本主義が乱開発によって自然環境や、熱帯雨林の破壊、自然と人間社会の調和を破壊した結果の産物である。温暖化や気候変動を見ればわかるとおりである。すべての責任は資本主義的国家と権力にある。

 

 生物学者の福岡伸一氏(青山学院大教授)などは、「地球が健全な循環を取り戻すためには、利己的な種、つまりは[強欲資本主義]に退場していただく他はない」(2月20日付朝日新聞)と断言している。まさに強欲資本主義を生んだ現代資本主義からの大転換が求められている。



  第二、感染症と社会、目指すべきは共存である、という未来展望である。これについても多くの知識人が言っている。なかでも長崎大熱帯医学研究所の山本太郎氏は「感染症は狩猟採集時代には存在しなかった。それが人間社会に定着したのは農耕が本格的にはじまった以後である」(3月11日付朝日新聞)と。原始共同体社会は、より発展し、前進して、より高度になって元に帰っていく。高度に発展したコミュニティ社会では原初と同じように人類と感染症は、共生し、共存できるのである。

 第三、感染症の根本的解決は「対症療法」のあれこれでなく、環境を変え、社会を変え、コミュニティ(共同体)に転換させていく。新しい環境と新しい社会は新しい型の人間を作り出す。

 3月7日付読売新聞は、WHOシニアアドバイザーの進藤奈邦子氏の発言を伝えている。「21世紀の感染症の制御で大切なことは、コミュニティ(共同体)主導型であることだ。コミュニティーとは、地理的なものに限らず、職場など社会的なものも含んでいる。国民がどれだけ理解し、協力してくれるかが鍵になる。多くの人が納得して行動する。つまり共同体的に解決する。反発を招きやすいトップダウンとは違う大きな力がある。感染症に備えることは、社会をより豊かなものへと変える機会にもなる」と言っている。

 すべてを国家の問題として、何よりもトップダウンとボトムアップの統一、それが人民の人民による人民のための人民の共同体運動になったとき、全国評議会へ転化し、社会の大変革へとつながっていく。

 五月号のわれわれの機関紙に紹介したが、社会学者・大澤真幸(まさち)氏も、国民国家を超えた世界連邦政府が必要な時代が到来したと言っている。まさに現代の歴史が新型コロナウイルスを生み出したのである。

 五月十四日付朝日新聞のコラム欄「科学季評」で京都大学総長の山極寿一氏が「コロナ後の世界に向けて―社会的な絆 失わぬ体制を」と題して、重要な問題提起をしているが、その体制とはまさにコミュニティ(共同体)社会に他ならない。

 

「一度は立ち止り、始めからやり直す」というマルクスの遠大な思想を学ぶ。そして再出発する!

 

 マルクスは、1852年に発表した『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の中で、明確に次のように予見・予測している。

 『18世紀の諸革命のようなブルジョア革命は、成功から成功へとあわただしく突進し、劇的効果をたがいに競い合い、人も物も絢爛たる光彩に包まれて見え、有頂天が日々の精神である。しかし、それは短命ですぐに絶頂に達してしまう。こうして社会は長い二日酔いに取りつかれてしまい、そうして始めて、しらふで、疾風怒濤の時期の成果を消化することができる。

 

 ところが、19世紀の諸革命のようなプロレタリア革命は、絶えず自分自身を批判し、進みながらも絶えず立ち止り、既に成し遂げられたと思えたものに立ちもどっては、もう一度新しくやり直し、自分がはじめにやった試みの中途半端な点、弱い点、けちくさい点を、情け容赦もなく徹底的に嘲笑する。この革命が敵を投げ倒しても、その敵は大地から新しい力を吸い取って、前よりも巨大な姿となって起き上がり、革命に歯向かってくる結果としかならないように見える。この革命は自分の立てた目的が茫漠として巨大なことに驚いて、絶えず繰り返し尻込みするが、ついに絶対に後戻りできない情勢が作り出され、諸関係自身がこう叫ぶようになる。ここがロドスだ、ここで跳べ! ここにバラがある、ここで踊れ!』と。

 何と偉大なことか。

 先進的知識人もマルクスと同じことを言っている。五月八日付日本経済新聞に、記号学者の石田秀敬氏は次のように説いている。

 「地球温暖化が示すように人類に残された時間は少ない。私たちは、いま不意に訪れたこの世界の停止を、グローバル化を進めてきた経済とテクノロジーの運動をいちど根源的に考え直すための、現象学がいうような意味での、エポケー(本質的反省のための停止)の機会と捉えるべきではないのか。生物の生のための環境は人間の経済にとっては「外部性」とされてきた。しかし、生政治も環境政治も、本当の意味での生物政治、地球政治へと次元を上げることを求められている。それを可能にするのは国民国家を超えた人類の世界政府でなければならぬはずだ」と。

 

 結 び!

 

 アメリカ大統領選挙、民主党の予備選で「社会主義に共感」した若者が、「サンダース旋風」を巻き起こし、民主党はもとより、アメリカの古い勢力に一泡吹かせたことは記憶に新しい。社会主義ご法度の国、アメリカで社会主義を求め、大変革の時代がやってきたのである。これは決してアメリカの問題でなく、現代の歴史時代を象徴する政治事件であった。

 歴史の大変革、つまり革命は歴史が生み出すものであり、必ずやってくる、という科学法則の表れであった。必然性と偶然性の問題である。

 若者たちの挑戦はなぜ成功しなかったのか。準備が整っていなかったのである。準備とは何か。

 第一に、人民と大衆を一つに統一する旗印・それは、人類の未来展望〈10項目のスローガン〉(英訳)である。

 第二に、大変革を導く中核部隊の建設、マルクス主義的前衛政党の構築である。

 第三に、万国の労働者団結せよ、である。つまりインタナショナルの建設である。マルクスやエンゲルスの道を進む。

 

(5月27日)

 

付:The Future of Humanity   

(10 slogans)   

 人類の未来展望(日本文)